2010年3月2日火曜日

就業・起業準備はじめのはじめ=筆記用具(1)

 寒空の中を受験生が入試を終えて帰ってゆく。背中からお疲れであることがわかる。ご苦労様。

 さて、地域で社会的起業が担える人材の育成や学生諸君の就業支援という本題にもどっての話である。
 これはお断りしておくが長い話になる。
 企業の実務家の皆さんのニーズはどうか。
 一般の事務職なら、アイデアが豊富で柔軟な頭脳があれば、開発や企画部門だろう。
かっちり仕分けして、遺漏がないなら経理会計部門だろう。規則に通じていて、その適応について社会常識に則ってしっかり判断出来るなら総務だろう
 我々の企業内部への入り方のイメージは大体、こんなモノである。
 その他、近代的な企業組織は大変に内部が複雑である。これは企業分野に応じて、また企業の規模に応じて個別性も強いだろう。OJT(現場での新人養成)も最近の経済情勢の中で企業側が余裕を無くしており、難航しているのではなかろうか。「促戦力」という言い方にはウラがある。入社後ただちにふるつわものとつばぜり合いをせよということだ。これって、無理があるのではないか。だから就業前教育が必要だとなったり、インターンシップの花盛りになる。この点については、じゃあそうですかと軽く乗るわけにはいかない。問題性が既に噴出しているからだ。インターンシップの問題性は今後とも実践的に分析してゆきたい。
 企業側がその背後において[深層においてである]共通して就業希望者に対して求めている資質は何か?
 これは、はっきりしている。就業希望者、新たに業を起こすつもりのものは、なによりも強い読解力を養うことである。PISA型についてはなお詳しく触れることもあろう。また、NIE(Newspaper in Education)という教育運動についても今後論じてゆこう。読解力といってもあの退屈な国語の試験問題を思い浮かべてはならない。活きた、人生の局面を切り開いてゆく多面的な情報素材の理解力なのである。「生きるちから」の実践編である。
*まったくステットラーにはお世話になっている。先端に近い部分は手ずれている。ふるいライカカメラと同じである。右は、木物語Bとステットラー鉛筆削り。

 まず、知的活動、起業活動の基礎は、なにがどうなっているという現場(会社と短絡しない、自宅で気付いたことをメモった場合もそこが現場だ)での採録、メモ取りが必要である。また、日程管理の手帳への記入も含めよう。ディジタル系についてはおいおい検討してゆこう。
 まず社会人になってゆく準備過程の入り口に立った場合、意外に学生達をみていて心配なのが筆記用具の選択である。
 書くことは反射神経であり、作業は長時間にわたる場合も、指や肩が痛まない、腱鞘炎が起こりにくい方がよいに決まっている。
 シャープペンが良く使われているが、0.5ミリ芯のHBを使っているのが普通。テストの答案などで細かい字で薄く書かれていると、採点者にとって読み取るのが大変に苦労な場合がある。やはりくっきりしっかり書くべきだろう。入試や就職試験でもいっしょではないか。
 しかし、この細さではまず使用者の筆圧によるが、折れやすくないか。さもなくば芯が折れない様に弱い筆圧で書かなければならない。そうなると必然的に字がだらけるし、思考の区切りも悪くなる。私の場合はしたがって0.5では絶対に駄目である。筆記用具を軽視する事なかれ。安いボールペンでなにからなにまでというのはいただけない。
 そこで、シャープペンの遍歴が始まった。デザイナーや技術職の設計者が使うステットラーのホルダーに注目して0.7を使ってみた。まあまあである。しかし、なお頼りなさが感じられた。
 その次に、0.9ミリで芯をBにしてみた。先端のとがった部分で書くようにしてゆくと、細い字もけっこういける。なによりも折れないようになったし、HBなどよりよほど滑らかだ。2Bで実験してみたが、これは緩すぎてだめだった。はじめは銀色のホルダーだったが、けばくて好きになれなかった。あるとき黒いのを店頭で見つけた。それ以来、0.9ミリで芯をB(芯は国内各社の優秀なのがある)にしている(写真をご覧ください)。
 長時間の会議や講習会でのメモどり、自己管理の手帳記入など縦横に役立っている。
 ボディも頑丈で、長年使っているが可動部分もしっかりしていて、機構も簡単だ。ドイツの傑作である。TOMBOWのリサイクル・ペンシルである「木物語」も気に入っているが、こちらは鉛筆削りの方をまたまたステットラーSTAEDTLERを愛用している。刃がなまって来たら取り換えられる。エコである。
 字を書くことはある程度の労苦を我々に強いるが、そればかりじゃない。頭と書くもの(キーボードで打つもの)とが近づいてくる。筆まめなのは情報化であろうとなんだろうと、大切なことだ。人間、せめて書く楽しみだけは失いたくない。
 大学生協にも注文がある。だんだんファッション的な筆記用具が中心になってきて、武骨な工学部風の筆記具がなおざりである。上記のステットラーもいつの間にか店頭から消えている。文房具の販売部は、なぜ消費者への「啓蒙」活動を積極的に行わないのか(カッコ付の言葉にはエリートのおごりが感じられるが、他に良い表現を見つけられない)。細けりゃいいんだというのは、どこの世界でも見直されているのじゃないの?
 知的活動の周辺を一巡りトレッキングの旅をしてみよう。ながいおはなしの始まりである。




 
 

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