2012年1月23日月曜日

マハンの著作---しかし超多忙で何をしているのか分からなくなっている


 久しぶりに大学生協の書籍部で新刊を見渡す。講談社学術文庫に麻田貞雄先生の編・訳になる『マハン海上権力論集』が入っていたのを見いだす。うっかりしていた。マハンAlfred Thayer Mahanは各国の海軍軍人に多大なる思想的影響を与えたアメリカ合衆国の提督である。秋山真之も教示を仰いだという。軍人が著作にも長じているというのは、『戦争論』のクラウゼヴィッツを想起させるものである。かつては研究社のアメリカ古典文庫の一冊であり、前任校の図書館で黒い装本の訳書初版を手にしたことを覚えている。もちろん、講談社版は補訂をほどこされている。大陸を開拓征服しつつ海洋に乗り出そうとする若い合衆国を、文字通り象徴する人物のひとりである。
現役の教授職にあったころは、こういう場合、原書もそろえてみたりしたのだが、退任後は文庫本を吟味して買うようなひどい知的貧困である。年金生活者の文化水準はまあこんなものかも知れぬ。
学生諸君には不思議がられるのだが、文献は読んでも読まなくても血液みたいに身の回りに循環していなければならないというのが持論だ。わがカンパニーも甲板まで波に洗われだして、大きなうねりにがぶり始めている。危ない危ない。
読まぬ本は積んでおいとくという心的態度は[“積ん読”は、悪い冗談だ]、そこそこ正しいと思う。それはいずれ、ああなって、こうなってという素材となり、素養を肥やし、授業づくりや知的エッセーのネタに役立つのである。
発見の喜びがあるのはなにも理系ばかりではない。文系もやはり偶然をからめた発見と出会いの連続である。いくら電子化してもこのことは変わらない。
よろしく人は積極的に発言しうるライターでもあるべきだ。

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