2010年4月23日金曜日

長い悪天候

天候がひどく悪い。こちらの調子もおかしくなる。太陽の光にさらされないと人間の免疫力も低下してくるそうである。
留学当初の寒さと違和感による困難は、しょっちゅう風邪にやられるという状況をつくりだした。あきらかな耐性の低下、免疫力の弱化である。パリにいても、とくに冬の期間は、しばらくは楽しくも何ともなかった。そんなこんなで、83年の春は悪天候がパリでも続いて、なにからなにまで参ってしまった。復活祭の休暇であったか、悪天候のさなか、突然、雷鳴がして雨が降りしきった。テンペストだ。それからいきなり晴れ上がって、上々の春がやってきた。劇的なのに驚いた。復活祭とは文字通り、冬忘れの春の祭典なのである。
郵便局で待ち時間にテレビを視ると63年ぶりの低温だと報じている。野菜が不足し、当然ながら高騰する。陽は差さぬ、新鮮な野菜は不足する、二重苦である。
そんな中で、声が出なくなることになった。授業中のことである。明らかに声に変調を来して、やがてはっきりとしゃべっている音が完全に出ていないことに気付く。そういえばここのところ咽の炎症がしつこく続いていた。
意を決して近所の耳鼻科のベテランの先生の所に行く。さっそく鼻から機器が差し込まれて、診断がくだる。鼻炎がまず軽くおこっている。そこから粘液が咽にくだり、やがて声帯の一つに炎症をもたらした…ということだろうか。この先生には久しぶりにみていただく。以前よりスムーズに機器が咽に入っていったみたい。機器が最新のものに替えられたのであろうか。
食道が心配だからと別の医院を紹介いただく。翌日は家からちょっと離れているが、自転車で走って、食道や胃を内視鏡でみていただく。問題はないそうでほっとする。
この内視鏡にも静岡から松山に転勤する際のレントゲンでチェックされて、ごやっかいになっている。
当時の機器はもっと大きくて、たしか食道や胃に一定の違和感があって検査中は息苦しかったと覚えている。今回はそうした苦痛も軽減されていて、あっという間に終わった。医師のスキルが高く、かつ機器が進歩しているのだろう。
コンピュータの画面に自分の食道や胃の内壁や十二指腸の映像がじつに鮮明に出ていた。既にいわれていることだが、我々は自分の身体の内部に別の宇宙をもっている。つくずくそう思った。

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