朝、パリのリオン駅からフランス国鉄SNCFご自慢の新幹線に乗ると、車内はほぼ満員。学生風と明らかに研究者風の方とそれにサラリーマンであろうか。つまり、便利になったので、長距離の通勤・通学が増えているのか。
ディジョンに本拠を置くのがブルゴーニュ大学である。学生数は2万7千ほどではなかったか。
昔は、ディジョン大学と言ったが、改組されて、工業テクノロジー系も包括し、レジオン[県のうえにたつ広域行政圏]名をとりブルゴーニュ大学となった。
ディジョンは、14万ほどの小さな州都・県都であるが、かつてはブルゴーニュ侯国の都である。いにしえ、北にベルギーなどを含む、細長い大帝国だった。おそらくその相当部分の収入はワインがもたらしたのであろう。今でもブルゴーニュ・ワインは文字通り一級品の宝庫であるが、南アやニュージーランドそのほかの新興勢力に攻められて苦しい闘いを繰り広げている。なにより、フランスの若者たちが高いワインを敬遠したという。
歴史に帰れば、絶対主義の集権国家形成に乗り遅れたか、ブルボン王朝に嘲弄され、この侯国は亡んでしまった。正確には、貴族年金の引き換えに、属領をブルボン家に移譲してしまい、主権国家たることを止めてしまったのである。
しかし、ブルゴーニュ人は気骨があって、パリにはいまでも対抗的である。
分権化を志向する面白い傾向かも知れない。
もっとも、本音で言わせれば、大阪も京都も、東京首都圏にはなにがしかのルサンチマンがあるだろう。対抗するならそれはそれで食と文化で圧倒しなきゃという、ディジョンの姿は模範になりそうだ。それに、この街はフランス一住みたい都市に選ばれているという。パリに住んでディジョンに通うのと、ディジョンに住んでパリに通勤とのどちらとフランスの友人に聞くと、文句無く後者が粋だと答えてくる。
さて、ブルゴーニュ侯国の主邑たるこのディジョンは小粒でもぴりりと辛い。おなじみ、洋辛子の特産地でもある。
また、この県都から南下すれば、ボーヌを経て地中海に向け、ブルゴーニュワインの回廊地帯である。銘柄品の宝庫である。もう少し年齢をかさねたら、いちどゆっくりワイン回廊を旅してまわりたいものだ。
ああ、フランス語、フランス語…。長いことフランス語を使って仕事をしてきたが、何回話しても、うまくはならない。それでもフランス語の会話は実に楽しい。
それに皆さんとごいっしょにと言う場合は、英語をつかうことになる。幸い、このたびのお客さんは英語もとびきり堪能だ。
それにしても、一挙に身の回りが外国語のラッシュだ。
この機会に、愛媛大学とブルゴーニュ大学とが提携していることを広く世に知らせておきたい。
一生懸命話し、一生懸命に考えよう。そうすれば、意外な道が私たちの前に開かれてくるかもしれない。
2009年1月、遍路と巡礼の国際調査の際にもディジョンに。 寒波の中、教会資料館をご案内くださるパリゾ先生。 |
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