川崎氏も久しぶりに系統的な話しをある程度の時間をとって行うので緊張すると述べておられた。
以下、講演の要旨を記録しておこう。
独立して12年ほどになるのか、幸い営業もせずに連続して仕事があった。生業は何と名付けていいか分からぬ。経営コンサルタントと言って下さる方が多い。四国を基盤に現在は被災地支援のため気仙沼や陸前高田に入っている。正直、8ヶ月の被災地支援モードからなかなか頭が切り替わらないが、一生懸命お話しておきたい。
就活準備のための社会人基礎講座として、大きな観点からの現状の把握を勧めたい。
最近特に、地球規模にイノベーションの波が起こっている。それでも現在は本番への序幕だろう。これらの問題は複雑系の理論などを用いれば、法則的なものとして捉えられるし、個の秩序への志向が全体の方向性を決める[従ってその指揮をとる人間は一定の規範normを産みだしている]、ミクロレベルの揺らぎは必然的にマクロの揺らぎへと伝播するし、部分と全体とはしたがって共振・共鳴しており、さらに、進化のプロセス自体も進化するのだ。これらの事象は複雑系などの観点から考察すべきだ。経営の問題に戻れば、特に小部署がイノベーションに目覚めた時、会社全体を変えることがおこる。
かつてアップルかウインドーズ系かで共通基盤を持たず、分断された市場は、ネットスケープ社の汎用性のあるブラウザーの登場によって克服された。狭苦しい二者択一から汎用性へのこうしたブレークは教訓的だ。また、「相補性」という量子力学の創始者たちが採用した考え方の重要性を強調しておきたい。
経営とはArtの様なものであり、特に現代は、模倣するべき母型がない時代に突入している。アラン・ケイは言った。「未来予測の最良の策は、[未来の扉をひらく]発明をすることだ」と。50年前の言葉だから驚く[アラン・ケイ(Alan Kay, 1940-)は、合衆国の計算機科学者、教育者、ジャズ演奏家。通称「パソコンの父」。主に、オブジェクト志向に関する初期の功績等で知られている。ダイナブックのコンセプトを作ったことでも著名:Wikipediaによる]。
ひざを屈して就活を乗り越えようとするのは間違いだ。誇りをもって就活に臨んで欲しい。そうしてターゲットの社について徹底分析し、社が抱えている問題性、そのための解決策、実行の有無などレポートをかかえて経営陣と対峙する気概を持って欲しい。
今は、悪い意味の「科学的客観性」のなかに優秀な方々は閉じこもる傾向がある。評論家的な知識だけでは駄目で、行動することが肝要である。
「知」から「智恵」の時代になりつつある。小さな部署でも意味ある揺らぎを起こせば、会社や組織全体の雰囲気を変えることが出来るのだ。ICTは世界のあり方をかえてしまった。
みずからの航海の標識である北極星を見つけて、その「志」を貫いて欲しい。経営者はみなさんが充実した学生生活を過ごしているか瞬時に見破ってしまう。過去や未来は私たちには存在せず、ただ今流れている時間のみが真実なのだ。
高貴な人間はそれなりの重い義務を負う。Noblesse oblige[ノブレス・オブリジュ]という言葉を銘記して欲しい。高い志と高いスキルをもった人財へと成長し、「うつくしい」生き方を実践できる人間になっていきましょう。
頭の中を整理しつつ、考えながら2時間にわたり熱弁を振るって下さった。
アラン・ケイという懐かしい名前にも接することが出来た。
ところで、超多忙の日々だが、研究室の書棚に埋もれていた『アップル コンフィデンシャル』の邦訳(初版)を女子学生の事務局メンバーが探しだしてくれた。感謝したい。書店では林 信行氏による増補改訂新版が出回っている様である。まあひとまずと、初版を読み始めている。PCの文化を作り上げていった若者たちの空気感が伝わってくる不思議な本だ。描かれた主人公達はもちろん、著者のリンツメイヤーや邦訳にあたられた方々の青春がそこに投影しているのかもしれない。
わたしもIICiなど名機を今でも家に置いている。
全体がカメラの視野に収まりきれかなった。 |
川崎氏と熱心にノートをとる就活生たち |
翌日開かれた学生事務局会議/新聞を使った勉強会である この日は、読売、日経、愛媛新聞を扱う |
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