2011年12月24日土曜日

就活対策講座---続き

近ごろはエントリー・シートのひとつの項目だけを企業の側に提出して、それがOKならエントリー・シート全体を記入して提出するという、いわば、プレ・エントリーシートPre ES方式をとる企業が増えつつある。これは2011年に本格化したリクルータによる予備面接や教授推薦[理系が主体で、講座全体を教授が面倒を見るわけではないらしいが…]の復活という動きに、さらに新しい流れとして指摘できるだろう。
ネット時代の特徴で、クリック・エントリーが膨大化して、企業の側の人事選考のための事務負担が増大している。企業側もちょい出しで、薄味の応募は困るというところか。
特に、「あなたがこれまで最も力を注いで来たことを書いて下さい」として、200ないし300字での小文を要求する場合が増えつつあるという。企業側は、この小文で感触をつかめるし、この関門を通過したものだけにエントリーシートの提出権利を与えれば良い。
この「注力」レポートの要領を簡単にメモっておこう。
第一に、たかだか200字プラスで何が書けるのかという覚めた態度が必要である。どうしよう、どうしようと迷っている時間はない。文章にならなかったら、高校や特に大学で真剣にかかってきたことを箇条書きしてみよう。その中で、部活の剣道だとか、大学でのボランティアとか、ゼミの共同発表だとか、アルバイトでの忘れ難い苦労だとか、先生との出会いだとか、NPOの正規事務局員になって張り切ったとか、色々のファクターが出てくると思う。
第二段階になるが、それらを散漫な形で列挙することはあまり感心しない。要するに、これらを通して、自分は大学に何の為に入り、三回生の今までなにを主眼として生活してきたのか、自問自答することである。構造化と抽象化が行われれば、一段深いところでの共通の流れが見いだせるはず。
すなわち、就活生であるあなたの「理念」を再度把握し、一本いれておく必要がある。それが怪しいと、企業側人事担当者からは「いろいろやってきましたねー」という、褒めたのだか、けなしたのだか分からない反応が来るに決まっているのだ。
実際、色々の取組を並べただけでは、相手は就活生のあなたについて分からないことは事実であって、その辺に一工夫が要るわけである。
第三に、そこで、上記の売り込み箇条書きを通して、自分は何をめざしてこんなにもがんばってきたのかを、一段掘り下げて考えることにしよう。例えば、「人と人との絆を大切にしてきました」などは、よく見る例だが、絆といってもそれぞれニュアンスは千差万別である。「具体的にどのような環境下における絆の構築なのか」を述べることである。
理念がらみの抽象表現には前フリが有効である。例えば「県都の松山は人口増加が目立ちますが、少子・高齢化のながれは否定できません。大学の地域貢献を私たち大学生も深く意識すべきだと常々考えてきました。そうした思いから、大学基盤の自主活動(NPOや学生祭広報活動)に注目し、その一員として活動してきました。学部の専攻は000ですが、地域の皆さんと接したり、支援を必要としている学生にも手を差し伸べ、今までにないネットワークを構築できました。この人間関係は専門研究のフィールドワークとしても併せてとても役立っています 云々」
まずい例文かも知れない。それに300字を越えたかな…。お許し下さい。
さて、最後に、大学の専門の勉強や年齢社会階層の異なる人々との交流については必ず触れることである。それは、300字程度だと当然、詳述出来ないので、あっさり上にあるような触れ方でも良い。
企業人としてチームワークをとった働きが出来ること、きちんとした学生生活を送ってきたこと、その中で「私はこういう風にThink different, Act locallyを一生懸命模索してきました」という風な押しだしができるといいだろう。
川崎克寛氏(E-planning=徳島、絆プロ=気仙沼 代表)の先日の講演は、その点をずばり突いている。
媚を売るな、卑屈になるな、堂々と「美しく生きよ」。「どうかわが社の一員として一緒に働いて欲しいと企業が頼んで来るような人材になれ」、と。まさに三顧の礼である。


パリ第一大学(ソルボンヌ)まえの広場。右手前にかつては
大手出版社PUFが直営書店を出していた。

1 件のコメント:

  1. 色々なことに興味があってやって来たことは
    根底で自分のテーマになり、やっと朧気につながってきた感覚があります。
    感覚を言葉に凝縮することの難しさ。しかし自分を鍛えるこの上ないチャンスでもあります。
    これからもご指導よろしくお願いいたします。

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