報道によれば、パリのキャフェも最近は相当閉じられている様である。たしかに水物では採算がとりにくいだろう。一般に大街路の交差点には必ずキャフェがあり、大型のキャフェでは例外なく相当の食事をとることが出来る。典型的なフランスの食事は、奇をてらう偉大なるシェフが君臨する上等な店では口にすることが出来ない。これは貧乏留学生の貴重な経験則である。
私にとってのフランス料理はそれこそキャフェでの軽食の中にこそあった。
もちろん、あのステック・フリット[ステーキと小山のようなフライドポテト]は、毎日食べていたとしたらきっと健康に何らかの兆候が出ただろう。幸いこちらは胃が小さいし、ポケットマネーもありゃしない。
その後、出張かなにかで、短期勝負になると利便性から有名店にも入る。
特に、たまに友人と共にすこしおごって、キャフェ・ドゥ・フロールあたりの見晴らしの良い席を占め、昼食にサンドウィッチを頼むと、実に大きいのが来て、とてもおいしいものだった。廻りには盛んに原稿に手を入れている作家風のじいさんが仲間としゃべっている。この近辺は、今でも名うての出版街でもある。彼のドラフトは散文ではなく、なんと詩文みたいだった。詩人の傍らで食事する栄を賜ったのだ。書物とキャフェと軽やかな散策の楽しみ。どこをとっても完全に調和がとられ、興ざめた破綻がめったにないような街区の風景。
上は2006年の調査旅行で泊まったホリデーイン。 下はガラス越しに街がみえるパンテオンのキャフェ
ローザ・アブルー財団の研究者用宿舎、この最上階で2年余り過ごした(82年から84年)。
フランス地方館、大型の寄宿舎である。
ロックフェラーが寄付した、シテユニヴェルジテールの中央館
近くのオランダ館
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